『貝塚博物館』 オススメ度:★★★☆☆

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千葉県千葉市にある貝塚についての博物館。
ここの何がオススメかといえば

縄文人が作ったシンボル型の石棒がある

という点です。
そりゃあ、秘宝館にいけばソレ系の展示はうなるほどあります。見飽きたという珍スポマニアの方もいらしゃるかもしれません。でもね、こちとら、作者が縄文人。5000年昔の歴史的石棒です。
では、詳細をご案内しましょう。
 


 
 





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▲サッカーや野球はできません。あと、貝や土器の採取もできません。

千葉駅の少し先、JR都賀駅からさらにモノレールに乗ります。東京からだと90分。ちょっとした小旅行です。

博物館のある加曽利貝塚は、国の史跡に指定されてる、かなり大きな貝塚です。のんびり散歩すれば、1周するのに30分はかかります。
公園として開放されてるんですけど「貝や土器および草木の採取はできません」と貝塚ならではの注意書きも。発掘ジャンキーの糸井重里氏には悲しいお知らせですね。



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▲縄文のおいしい水

加曽利貝塚は縄文時代のもの。なので、水飲み場も縄文土器デザインです。太古の土器からいただくと、カルキの味も気になりません。



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▲首が切り落とされている顔出しパネル

男性の首がすっぽり切り落とされています。豪快な顔だしパネルです。縄文人の気分を味わえると同時に、斬首刑の無念さも体験できます。



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▲博物館の展示は、かなり分かりやすい。貝塚の謎がじょじょに溶けていく。

貝塚博物館の入場料はたった60円。安すぎます。ガリガリ君とまったく同じ値段です。
日曜の昼間に行ったのですが、お客さんは、家族づれが2組とオシャレなカップルが1組。デートで貝塚にくるなんて、そうとう渋いカップルです。いや、この渋さ、もはやカップルではありません。アベックです。アベックと呼ぶにふさわしいです。お客さんは家族連れ2組とアベック1組だった、と謹んで訂正します。

展示は、小ぶりながらもかなり分かりやすいです。「貝塚ってなに?」という疑問がじょじょに溶けていきます。
大型貝塚は干し貝の加工工場で、小型貝塚はムラのゴミ捨て場だったとか。なので、貝塚を分析すれば、当時の生活スタイルが見えてくるわけです。探偵も、ゴミを漁って、家族構成や行動パターンを推測しますもんね。



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▲食料を保存するためのシンプルな土器

当時のゴミ捨て場だったというわけで、貝以外にもありとあらゆるものが発掘されます。たとえば、縄文式土器。上記は食料保存用だとか。50点以上の土器が展示されています。
なかには、死体を入れて埋葬するための土器なんてのもありまして、今でいう骨壷ですね。骨を洗うためか、魂の抜け道としてか、わざわざ底が抜けたのを作っていたそうです。



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▲半年に1度開催される土器づくりの会

半年に1度、土器づくり同好会の皆さんによって「土器を作る会」が開催されます。およそ1ヶ月にわたり、1つの土器を作り上げるイベントです。
まさか土器づくりを趣味にしてる人たちがいるなんて。趣味の世界は深すぎます。



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▲現代人が作った土器

僕が行ったときにはちょうど、土器づくり同好会による作品展が開催されていました。素人目には本物と見分けがつきません。
作者のおじいちゃん、おばあちゃんは自宅に持ち帰り、土器になにを入れているのでしょうか。佃煮とか盛りつけているのでしょうか。


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▲発掘された成人男性の骨



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▲ペットとして飼われていた犬の骨

人骨や犬の骨も展示されています。カルシウムは溶けないため、こうして丸々発掘されるそうです。
家の中に転がっていたらブキミですが、歴史的文脈で見ると怖くありません。




珍スポファンに朗報。シンボルと大便もあります。

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▲石棒が1本あるだけで、お堅い資料館もグッと親しみが湧きます。

ここまで読んで「うーん、土器だのなんだのって堅いなあ」とお嘆きの珍スポファンに朗報です。皆さんが大好きなものもございます。「特殊な石製品」という展示スペースに、石棒が飾られています。

上記のものは1mとかなりデカめ。先祖をまつるシンボルとして、墓石代わりに立てられていたようです。ヘビーな石棒好きでも、現代ですと実現が難しい墓石デザインですね。後年、㈱TENGAの社長なんかに、チャレンジしてほしいです。



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▲手のひらサイズで持ち運びに便利なブツ



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▲異形石棒と名づけられた、ツチノコ状の平たいブツ

大きいのだけでなく、持ち運びに便利なポータブル石棒もございます。このサイズなら、マンモスを狩りに行くさいも、ポケットに忍ばせておけますね。
秘宝館ではなく、こういうお堅い歴史資料館でみる棒というのは、なんだかギャップがあって嬉しいものです。全裸の女性をテレ東で見るより、水着姿の女性をNHKで見るほうが、エッチな感じがするのと同じメカニズムです。



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▲人糞の化石が3粒

「糞石」と名づけられた人糞の化石もあります。
色味といい、形といい、よくぞここまで糞っぽさを維持したものです。この糞の作者は、魚を食いまくる人だったらしく、魚の骨が大量に入っています。骨のカルシウムによって、溶けるのを防いだわけです。
「3000年後の未来人にも、自分の糞を見せてあげたい」という心優しい人は、魚メインの食生活に切りかえると良いでしょう。



【総評】

小ぶりながらも、展示方法がスマートで分かりやすい。
ただし、モノレールを経ないと辿りつけない不便さを考慮にいれ、★3つとさせていただきます。






「加曽利貝塚博物館」の情報
オススメ度:★★★☆☆
アクセス:千葉都市モノレール「桜木駅」から徒歩15分
住所:千葉県千葉市若葉区桜木8-33-1
電話:043-231-0129
営業時間:9:00~17:00
定休日:月曜日、祝日、年末年始
予算:大人60円
関連URL:千葉市サイト